夕張鉄道の 跡を訪ねて BICYCLE TOUR
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(7)南幌駅跡−野幌駅間

 南幌−野幌の間の旧駅は、晩翠(ばんすい)、下の月、上江別、北海鋼機前、野幌です。地図でこれらの地名をつなげ てみると解るとおり、農地区画に依存していない”空知南部広域農道”があります。これが鉄道跡です。南幌の西はずれからこの道へ出ます。車の往来が激しく なっています。この道は見覚えがあります。春に野幌運動公園からロードバイクの練習走行で来た道でした。道路の看板には”きらら街道”とあります。北長沼 にあった短い”きらら街道”は、ここで復活していました。痕跡が何もなかった北長沼−南幌間も、やがてこの街道として接続、整備されるのでしょう。そうな ると栗山−江別(札幌方面)を最短距離で結ぶ効率の良い道ができます。輸送の主役が機関車からトラックに替わって、また同じ路線が復活しようとしていま す。

 旧晩翠駅手前の街道沿いに南幌温泉がありました。ここにも機関車が展示されていますが、これは”弁慶号”で、夕鉄 とは全く関係がありませんでした。晩翠付近は工場誘致用地となっていましたが、駅跡らしきものは解りません。このあと、千歳市に住む私にとっては懐かしい 名の千歳川を渡ります。ここにも鉄橋跡はありません。この街道の橋と完全に重なっている為、架け替えで痕跡が無くなったのでしょう。すぐに旧下の月駅、旧 上江別駅です。札幌圏に入って来ると廃線後の活発な経済活動が、跡を消し去って行ったのです。この過去の鉄道ルートだけが例外で、現代にも通用する価値が 見いだされた様です。

   写真18・江南通り(野幌)

 しばらくして、野幌駅のある江別市内へ入って来ます。マンション等の高い建物が目につき出しました。きらら街道 は、できたばかりの様なアスファルトの新しい道、”ふるさと農道江南通り”との名前に変わりました。この線路跡である通りは、函館本線と併走するために、 左方向へ鉄道特有の曲線を描いてカーブをはじめます。90度方向が変更されたところで、フェンスを回した北海鋼機工場横へ出ました。この工場は現在も稼働 しています。当時はこの工場への引き込み線もあったようです。ここでは、夕張炭坑々内、外で使う資材なども生産され、貨車で運び出されたのではないでしょ うか。次回はこのあたりの裏付けを取ることができたら良いなと思っています。

写真20・旧北海鋼機前駅腕木式信号  

 この道の左手歩道を野幌駅南口方面へ進みます。’95年にここを訪れた宮脇さんの本には、北海鋼機工場裏の寂しい ところに、錆びてボロボロになった腕木式信号機が残っているとあります。期待が膨らみます。しかし寂しい雰囲気はありません。江南通りは、放置されていた 北海鋼機裏の線路跡地に、ごく最近開通したのかも知れないと感じました。ここの歩道は鉄道路盤の雰囲気を残しています。そして、いよいよ久しぶりに夕鉄の 実体の腕木式信号機と出会いました。かなり想像と違ったのは、あまりにも奇麗であることでした。長沼温泉のものと同じ様に水平で赤信号を出していました。 しかしここの信号機は現役時代からこの場所に建っているのです。その脇には、江別市によって建てられたピカピカの説明看板がありました。まだ雨に打たれた 形跡もありません。それには夕鉄の蒸気機関車が煙をなびかせて快走している写真、路線図と解説文がありました。この看板の設置日付が最後にあり、平成十年 十月とあります。まだ9月27日。ということは看板の設置が前倒しになり、ほんの2,3日前に建てられたのでしょうか。感動ものです。なんてラッキーだっ たのでしょう。

  写真21・夕鉄バス旅行センター

 少し進むと”YOU”と書いたさわやかな塗装のバスが、その先の敷地へ入って行きます。丸にYのマークのついた大 きな看板を載せた夕鉄バス旅行センターの建物がありました。広々とした敷地に十数台の夕鉄バスが停車していました。えんじと白のツートンにペイントされた 従来色調のバスもいました。ここは立地的にも、広さから見ても旧機関庫かもしれません。旅の最後に、この頻繁なバスの出入りを見ていると、現代に生き続け ている夕張鉄道がそこにありました。

 

 

写真22・夕鉄バス車庫  

感動もさめやらぬまま、いよいよ終着駅です。近くに野幌駅南口が見えます。駅構内の南側には、いまだ夕鉄の路盤 が空き地として残してあります。函館本線ごしに”SATY”の建物と屋上の看板が見えたところで、頭が時間旅行の状態から現代に戻って来ました。夢から覚 める時の様な、ちょっと残念な様で、ほっとした様な、得も言われぬ感覚を覚えました。





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栗山公園保存車両写真集へ【事後調査編 '98/11/12】

参考資料 1:宮脇俊三著 JTBキャンプブックス 鉄道廃線跡を行く JTB日本交通公社出版事務局発行
参考資料2:夕張市史
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